イギリスのなかでもスコットランドへの留学に興味をお持ちではありませんか?
スコットランドはイギリスの北部に位置する地域です。
夏は涼しくて冬は寒く、北欧に近い気候といえるでしょう。
首都エディンバラは壮麗な城塞都市、グラスゴーは貿易と重工業で発展した都市です。
2022年9月から2024年9月の約2年間をかけて3か国の大学院を巡る「国際修士学生」。2022年9月から2023年1月までの約5ヶ月間でイギリス・スコットランド地方のグラスゴー大学大学院に留学。その後はスペイン・バルセロナ大学大学院、京都大学大学院に在学予定。
スコットランドってどんなところ?
スコットランド自体が大きいため、一概にこういうところとは申し上げにくいのですが、一般的な価値観から述べますと、スコットランド地方はロンドンがあるイングランド地域と比べて自然が豊かで空気がきれいなところなので、開放的な気持ちで生活ができます。
わたしが住んでいる場所はスコットランドのなかでも人口が最も多い工業都市であるグラスゴーという街です。
居住環境としては街の中心部に近いところで大学も中心部の近くですので、どちらかというと都心的な生活ではあります。
スコットランドに留学するメリット
ここからはスコットランドに留学するメリット3つをご紹介します。
メリット①:地方都市の生活を享受できる
ロンドンのような国際都市では味わえないような、地方都市の生活を享受できることがスコットランド地方におけるメリットの1つだと思います。
ほどよい都会度で住んでいる人々もあまり忙しくなく、ゆったりしています。
海外へ初めて留学をした場合でも、ロンドンほど人が多くないので、落ち着いた生活ができると思います。
メリット②:盛んな飲みの文化やナイトライフを楽しめる
わたしの住むグラスゴーは芸術でも有名な都市なので、昼夜問わず路上ライブが盛んに行われていたり無料で芸術に触れる機会があったりします。
またパブ文化と呼ばれるのですが、イギリスではちょっとした飲みの文化というか、地元の人と交流したいと思ったときにお酒を通して気軽にコミュニケーションがとれる環境があるのはイギリス全般の魅力だと思います。
スコットランドに着目すると、ロンドンなどの国際都市は留学生に慣れているからこそのウェルカムな雰囲気がありますが、スコットランドの場合は慣れていないからこそのウェルカムな雰囲気があります。
人情的なあたたかさを感じられるのもナイトライフに含まれると思います。
わたし自身も、クラスメイトの友人がすごく好きなので友人関係を良好にするためにも声をかけられたら足を伸ばすようにしています。
飲み会だけでなく、日本では行ったことのないクラブにも行きました。
現地でふらっと入って友達をつくってというのが理想ですが、わたしの場合はクラスメイトと一緒に楽しむことが多いですね。
周囲の友人の話を聞いても、自分からふらっと行って友達をつくるような文化ではないらしく、基本的には友達とクラブやパブに向かうと聞きました。
メリット③:水がすごく美味しい
わたしも渡航前には知らなかったことで、とても小さなことですがスコットランド留学の1番のメリットだと思っていることとして水がすごく美味しいことがあります。
ロンドンも含め基本的に海外留学をすると現地の水はいわゆる「硬水」なので、水をそのまま飲めなかったり洗髪時に髪がきしんだりするんですね。
でもスコットランド地方は基本的に「軟水」で、スコットランド地方に留学するとなるとエディンバラかグラスゴーの二択なのですが、グラスゴーは特に水が美味しい地域として有名です。
これはあまり留学サイトなどでも紹介されていない点なのですが、個人的にはすごくアピールポイントだなと思います。
髪もきしむことがないし、日本の洗剤もそのまま使えますし…。
スコットランドに留学するデメリット
次はデメリット3つです。
デメリット①:物価が高い
イギリス全般的に物価は高いので、ロンドンと比較したら安いというだけで、スコットランド地方もやはり高めではあると思います。
特に外食や物の値段は「これでこの値段か…」と噛み締めつつ買い物をしています。
ほかの留学生たちからも聞くのですが、自国の通貨に換算することを諦めますね。
日本円に換算して考えると怖くてすべて買えなくなってしまうので、目の前にある価格で購入します。
日本の物価と比較したら高いのは仕方ないのですが、それでも高いなあと感じます。
デメリット②:冬の気候が日本の梅雨のようにどんよりしている
日本の梅雨がスコットランド地方の冬というイメージで基本的に雨もしくは曇りです。
太陽も出るのですが、わたしの記憶だと最後に太陽を見たのはいつだろうという感覚です。
ずっとどんよりしていて、台風かのように強い風や雨が降ることもあるので、精神的に辛くなることもあります。
大学側も留学生向けに心理カウンセリングの受診を積極的に促すくらい、精神的にまいってしまう人が多くて、理由が天候だけでなくて太陽がすごく早く沈んで暗くなることもあるんですね。
11月のいまの時期だと16時頃から暗くなり始めて、17時には真っ暗になります。
日本の冬でも1月とかは早く日が落ちて暗くなると思いますが、グラスゴーは10月からそういう気候になってしまうので、クラスメイトも「どうしよう、まだ秋だよ。冬がちょっとこわいね」というレベルでデメリットかなと思います。
夏はすごく綺麗らしいのですが、わたしは9月の秋から留学で来たために、秋や冬はスコットランドのメジャーではない季節なので、精神的にきついなと思うことはあります。
デメリット③:パーソナルスペースを大事にしている
これはグラスゴーだけなのか、スコットランド地方のことなのか、イギリス全般のことなのかわたしの認識違いなのかは定かではないのですが、総じてわたしの住んでいるグラスゴー地域はパーソナルスペースを大事にしているすごく文化があって、逆に言えば日本とあまり変わらない印象です。
いわゆるイギリス留学をされている方の話を聞くと、見知らぬ人ともすごく会話をしたり、クラブでも友達になりやすかったりという話を聞くのですが、少なくともわたしが住んでいるグラスゴー地域はそういったことがあまりなくて、基本的にグループでクラブやパブを楽しんでグループで帰るような感じです。
見知らぬ方に話しかけるような文化があまりなくて、留学生という立場で訪れた際には、地元の方は地元の方でかたまっているのでちょっと疎外感があるように思うこともたまにあります。
スコットランドに留学する費用
ここからは留学する費用を、学費・生活費・渡航費・その他に分けてご紹介します。
費用①:学費
費用面に関しては全般的に高いのですが、なかでも学費はものすごく高いですね。
学費はわたしが留学するときに調べて初めて知ったのですが、イギリス全般的に大学院の費用の分類が「イギリス人」「ヨーロッパ人」「それ以外」で分けられていて、比率で言うとイギリス人の学費を1としたときにヨーロッパ人は2倍、それ以外は4倍の学費がかかるんですね。
学費が高い理由は、学費を上げたとしてもイギリスで学びたい留学生が多いため高額でも応募があり、大学側に学費を下げるメリットがないなどいろいろあると思います。
日本の大学院の学費と比較しても正直びっくりするような金額です。
ただ、だからといって諦めるかといったらそうではなくて、たとえばわたし自身もちゃんとした奨学金を借りることはできていないものの、プログラム上の仕組みなのかわたし自身でも把握しきれていないのですが、わたしは半額免除でイギリス人と同じ価格設定になっています。
そのような対応をしている大学は結構あるのではないかと思います。
たとえば国籍で分けていたり、奨学金といっても日本だけではなくイギリスの大学自体が提供している奨学金もあります。
必ずしも「すごく高いからもう諦めるしかない」となる必要はないと思います。
それでも額面を見ると圧倒されることはあるので、学費に関してはやはり高いと言うのが正直なところです。
わたしのプログラムは特殊で「国際修士課程」といって3つの大学院で学んで1つの修士課程を修了するんですね。
本拠地はいまのグラスゴー大学で、1学期目をグラスゴー、2学期目をスペインのバルセロナ、3・4学期目を京都で過ごします。
学費はグラスゴー大学に納めている形になります。
このプログラムの場合、レートにもよりますが1年間当たり120〜130万円くらいだと思います。
それが2年分です。
ただわたしは半額免除でイギリス人と同じ金額でこの価格なので、免除がない場合は倍の金額になります。
1年間当たり240〜260万円ということになりますね。
実はこれでも安い方らしくて…。
大学によっては400万円〜500万円を1年間の修士課程の学費として請求する場合もあるそうです。
特にオックスフォード、ケンブリッジ、スコットランドではエディンバラなどの大学は、ヨーロッパ以外の国の留学生がそれくらいの学費を請求されるのは普通のことのようです。
費用②:生活費
生活費に関しては安く切り詰めようと思えば切り詰められるのですが、わたしが住んでいるグラスゴーは人口が一番多い都会ですので、月当たり家賃も含めて14万円以上あるとほどほどに生活ができるといった感覚です。
割と高めだと思うのですが、なぜ地方都市なのに14万円以上もするのかという理由としては、家賃がすごく高いんです。
スコットランドの2大都市であるエディンバラとグラスゴーのどちらもそうなのですが、そもそも空いている物件が少なくて、学生寮であっても月当たり10万円前後はします。
家賃がすごく高い分、生活費全体で見ると高めになります。
ただ家賃を抜いたほかの生活費で見ると、わたし自身も驚いたのですが、野菜類はすごく安いです。
イギリスでは食品にかかる消費税が0%らしくて、さらにどういう仕組みかはわからないのですが野菜類がすごく安くなっています。
玉ねぎやじゃがいもが1キロで200円未満とか。
自炊をする方は生活費をかなり節約できるかなと思います。
留学生は自炊は絶対だと思います。
一方で外食費はすごく高いです。
日本の恋しいものとして松屋のような牛丼屋があるのですが、350円前後で味噌汁もついて牛丼が食べられるというのはイギリスではまずないですね。
外食をすると最低でも1,600円以上するので外食は高いです。
費用③:渡航費
渡航費に関しては成田ーロンドン間を渡航の2ヶ月前(7月)に航空券を取得した際には往復16万円前後でした。
ただこれはコロナの制約を受けていたと思っていて、いまなら日本が国境をオープンにしたので今後はLCCも復活してくると思いますので、それを加味すると渡航日はピンからキリまでだと思います。
一つ言えるとすれば、中東航空会社(エミレーツ、カタール、エティハド)はすごく安く抑えられるのでおすすめです。
学割も使えます。
費用④:その他
日本食や日本の調味料は高くて、日本で購入できる料金の2倍から4倍はします。
スコットランド留学に必要な準備
スコットランド留学を考える方が準備しておくべきことを、ビザ・英語力の2つの観点からご紹介します。
準備①:ビザ
日本人の場合、半年以内の短期留学ならビザはいりません。
長期留学の場合は基本的に2年間のビザになります。
ここがわからないのが、イギリスの大学院は基本的に1年なんですね。
だけど2年分請求されます。
価格はすごく高いです。
理由としては申請料だけで5万前後するのですが、それにプラスして社会保障料を2年分まとめて支払わないといけないので、それがわたしの場合だと16万円前後しました。
逆に言えば、日本人は基本的にお金が払えればビザはとれます。
準備②:英語力
大学院の正規留学なので語学留学とは違うのですが、少なくともわたし自身の経験から申し上げますと、日本でどんなに英語力を鍛えたとしても苦労はすると思います。
それは英語力が低いということではなくて、単純に大学院側が求めるレベルがすごく高いためです。
イギリスの大学院の仕組みとしては、学部のバッググラウンドを気にせず自由に応募することができるんですね。
たとえば経済学の大学院に進みたい場合でも学部は経済学じゃなくていいなど。
しかし入学したら教授の方々は「下知識あるよね」という感覚であることも多くて、さらに授業のシステムとしてもイギリス全般的に議論が中心なのですが1つの議論のための事前学習として求められるリーディングの量もすごく多いです。
そのためIELTSやTOEFLなどの語学試験の点数では計り知れない「生きる英語」を日本でいかに身につけられるかは大事だと思います。
わたし自身もそのあたりをもう少し勉強しておけばよかったなと思ってしまっていますね。そこがどうしてもきついと思っています。
日常生活に関して言うと、スコットランド英語はよくわかりません。
ほぼ毎日「英語を喋っているのかな?」という感覚になります。
やはり現地の方々が話す英語は映画などで聞ける英語とはまったく違うので、そこは新鮮である一方でちょっとしたフラストレーションになるところではあります。
スコットランド英語はすごく特殊で、わかるようでわからない、何度も聞き返さなければならない恥ずかしさとか辛さがあるので、スコットランドに留学を検討されている方はそこが要注意かなと思います。
スコットランドの治安
大前提として海外は日本のような天国みたいな安全さではないので、どこの地域でも狭い路地や暗い夜道を避けるというのはあると思いますが、それを考慮したとしてもグラスゴーはすごく安全だと思います。
めっちゃ安全です。
たとえばクラブの帰りは朝の4時頃になりますが、街の中心部から自宅へ帰るときでも危険を感じたことはまったくありません。
理由としては、わたしが男性だからというのもあると思うんですけれども、グラスゴー自体が人口80万人前後でそれほど多くないので、夜はそもそもそんなに人がいないんですね。『人がいない路地を避けましょう』と言われることってあると思いますが、グラスゴーの夜はどこも人がいないのでどこが安全か危険かわからないです。
もう1つの理由としてわたしが実感したのは、カフェでパソコンを置いたままお手洗いに行く方がすごく多いんですね。
カフェのシステムでも先に席を取って、つまり荷物を置いてオーダーするところもあって、その点ではかなり治安が良いかなと思います。
渡航前はかなり警戒していましたが、実際に来てみるとそうでもなかったという印象でした。
逆の意味でギャップを感じるというか拍子抜けするくらい「結構安全なんだ」と感じます。
ただ、ロンドンは違うと思います。
グラスゴー地方はめちゃくちゃ安全です。
そこまで怯える必要はないと思います。
スコットランド留学はどんな人におすすめ?
海外留学では首都や大都市に行くケースが多いと思いますが、地元の雰囲気や文化を味わいたい方や、東京や大阪などの大都市が苦手な方にはスコットランドがめちゃくちゃおすすめです。
生活に困らないレベルでものは揃っているけど、人はあまり混雑していないのでほどよいと思います。
それは言い換えると治安が良いことにもつながるので…。
治安が良くて、大都市が苦手で、水が美味しいところを希望するなら絶対にスコットランドがおすすめです。
スコットランド留学を考えている人に一言いただけますか?
スコットランドというほどよい地方に足を伸ばすことで、また視野が大きく広がると思うので、もしスコットランド留学に興味がある方はぜひ挑戦していただきたいなと思います。