英語は世界中で話されている「世界共通語」です。
同じ英語であっても話されている国や地域によってさまざまな違いがあります。
代表的なものとしてよく比較されるのが「イギリス英語」と「アメリカ英語」の違いです。
まずは聞いていただくのが1番わかりやすいかと思います。
これらの音声を聞き比べてみてください。
同じ「better」ですが、違いが分かりますでしょうか?
全く違った風に聞こえませんか?
この記事ではイギリスに9ヶ月間留学経験のある筆者がイギリス英語とアメリカ英語の4つの主な違いや面白い違い、イギリス英語とアメリカ英語の違いの歴史的背景などについて詳しく解説します。
学生時代に大学を1年休学し、イギリスに9ヶ月間留学。
日中は現地の小中学校で日本語教師のアシスタントを務めながら、公立カレッジの夜間コースでイギリス英語を学んだ。
歴史的な建造物、緑豊かな公園、近代的なビルやお店が一体となった、ロンドンの独特の雰囲気が好き。
イギリスに行くなら、博物館や美術館巡り、ミュージカル鑑賞を楽しむのがおすすめ!
イギリス英語、アメリカ英語とは?
基本的に「イギリス英語」とはイギリスで話されている英語、「アメリカ英語」とはアメリカで話されている英語のことを言いますが、実際はどちらも世界中のいろいろな国で話されています。
イギリス英語が話されている国
イギリス英語は過去にイギリスの植民地であった国を中心にたくさんの国で話されています。
- アイルランド
- オーストラリア
- ニュージーランド
- インド
- マレーシア
- 香港
- マルタ
- 南アフリカ
- 西アフリカなど
アメリカ英語が話されている国
アメリカ英語が話されているのは歴史的にアメリカの影響を強く受けてきた国々です。
- フィリピン
- プエルトリコなど
日本の英語教育でも、アメリカ英語をベースとした英語が教えられています。
イギリス英語とアメリカ英語の4つの主な違い
イギリス英語とアメリカ英語の主な違いは発音、スペル、単語、文法の4つです。
それぞれの違いについて項目ごとに見ていきましょう。
違い①:発音
イギリス英語とアメリカ英語では、子音や母音の発音の仕方に大きな違いがあります。
イギリス英語の発音にはたくさんのアクセントがありますが、この記事では容認発音(Received Pronunciation、RP)、とくに現代のModern RPとアメリカ英語を比較しながら解説します。
「R」の発音
イギリス英語では「R」が発音されるのはrain、arriveなど後に母音がつづくときだけです。
workなど「R」の後に子音がつづくときや、doctorなど単語の最後が「R」のときは発音されません。
アメリカ英語では「R」はいつも発音され、よく響くのが特徴です。
「T」の発音
イギリス英語では「T」は「T」のまま、クリアに発音します。
betterの発音は日本のカタカナの発音に近い「べター」です。
アメリカ英語では「T」の発音は「R」や「D」の音に変化し「ベラー」や「ベダー」のような発音になります。
「A」の発音
イギリス英語では「A」の音はカタカナの「ア」に近い音で発音することが多いです。
たとえばmapやbackは「マップ」「バック」と発音します。
アメリカ英語では「A」は「ア」と「エ」の間のような音になるのが一般的です。
イギリス英語とアメリカ英語の発音の違いについてはこちらの記事(音声付)で詳しく解説しています。
違い②:スペル
イギリス英語とアメリカ英語のスペルではとくに語尾のスペルのパターンに違いが見られます。
代表的なパターンを3つ紹介しますので一つずつ見てみましょう。
イギリス英語「-ise」/アメリカ英語「-ize」
イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
appetiser | appetizer | 前菜 |
organise | organize | 組織する、まとめる |
イギリス英語「-ogue」/アメリカ英語「-og」
イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
analogue | analog | アナログ |
catalogue | catalog | カタログ |
イギリス英語「-t」/アメリカ英語「-ed」
イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
burnt | burned | 焼けた、燃えた |
dreamt | dreamed | 夢を見た |
イギリス英語とアメリカ英語のスペルの違いをもっと詳しく知りたい方はこちら。
違い③:単語
イギリス英語とアメリカ英語では同じ意味の言葉でも、全く違う単語が使われていることがよくあります。
日常的な会話で使われる単語の例を以下の表にまとめました。
イギリス英語 | アメリカ英語 | 意味 |
trousers | pants | ズボン |
flat | apartment | アパート |
bonnet | hood | ボンネット |
crisps | chips | ポテトチップス |
jumper | sweater | セーター |
trainers | sneakers | トレーニングシューズ |
postbox | mailbox | 郵便ポスト |
shop | store | 店 |
イギリス英語とアメリカ英語の単語の違いをもっと詳しく知りたい方はこちら。
違い④:文法
イギリス英語とアメリカ英語には文法にもいくつかの違いがあります。
よく知られている3つの違いを確認してみましょう。
過去形と現在完了形
イギリス英語では現在に関する過去の行動は現在完了形で表します。
アメリカ英語でも同様に現在完了形が使われる場合もありますが、過去の行動については過去形をよく使うのが特徴です。
already、just、yetなど、イギリス英語では現在完了形の文章で使われる副詞が、アメリカ英語では過去形とともに使われています。
イギリス英語
- She isn’t hungry. She has already had breakfast.(彼女はお腹が空いていないわ。
もう朝食を食べたのよ。)
アメリカ英語
- She isn’t hungry. She already had breakfast.
gotとgotten
イギリス英語では動詞の「get」の過去分詞は「got」です。
アメリカ英語では「get」の過去分詞は「gotten」とも言われます。
「have got」はイギリス英語、アメリカ英語のどちらでも使われますが、「have gotten」はイギリス英語では間違いになってしまうので注意してください。
イギリス英語
- You’ve got very thin.(あなたはとても痩せたね。)
アメリカ英語
- You’ve gotten very thin.
haveとtake
お風呂に入る、シャワーを浴びる、または休暇をとるなどと表現するとき、イギリス英語では動詞の「have」と「take」が使われますが、アメリカ英語では「take」のみが使われます。
イギリス英語
- I’m going to have/take a bath.(わたしはお風呂に入るわ。)
- He will have/take a break.(彼は休憩をとるよ。)
アメリカ英語
- I’m going to take a bath.
- He will take a break.
イギリス英語とアメリカ英語の面白い違い
イギリス英語とアメリカ英語には他にも面白い違いがあります。
4つの面白い違いを紹介しますので順番に見ていきましょう。
面白い違い①:時間の伝え方
アメリカ英語では例えば12時15分は「Twelve fifteen」とデジタル式で伝えますが、イギリス英語では「Quarter past twelve」と伝えます。
同様に12時45分はアメリカ英語では「Twelve forty five」ですが、イギリス英語では「Quarter to one」と伝えるのが一般的です。
面白い違い②:日付の書き方
イギリス英語で日付は「日/月/年」の順に書きますが、アメリカ英語では「月/日/年」の順に書きます。
例えば「2023年1月25日」であれば、イギリス式だと「25/1/2023」、アメリカ式だと「1/25/2023」と表記します。
面白い違い③:建物の階数の数え方
イギリス英語では日本でいう1階は「Ground floor」で2階、3階から「First floor、Second floor」と数字で数えます。
アメリカ英語の数え方は日本と同様、1階が「First floor」、2階、3階は「Second Floor、Third floor」です。この違いを知らないと旅行先のホテルなどで間違えてしまいそうですね。
面白い違い④:気温、温度の表し方
イギリス英語では気温、温度を表すときは日本と同じCentigrade:°C(摂氏)を使いますが、アメリカ英語ではFahrenheit:°F(華氏)を使います。
気温、温度について話すときにイギリス英語とアメリカ英語では数字が全く違うので注意が必要です。
イギリス英語とアメリカ英語はなぜ違う?
イギリス英語とアメリカ英語はなぜ違うのか、2つの歴史的背景をスペルと発音 2つの観点から解説します。
スペルの違いが生まれた理由
16世紀から17世紀にかけて、イギリス人がアメリカ大陸に上陸し現地の人に英語を教えた頃、英語のスペルはまだ標準化されていませんでした。
その後1783年の独立戦争によってアメリカはイギリスからの独立を果たします。
イギリスでロンドンを拠点とする学者たちが初期の英語の辞書を編集していたのと同じ頃、1806年にアメリカの教育者であり、辞書編集者でもあるNoah Websterが最初の辞書を出版しました。
Noah Websterの辞書にはたくさんの単語がイギリス英語とは違う、アメリカ式で記載されていました。
それはイギリスからの独立を示す一つの方法だったと言われています。
発音の違いが生まれた理由
アメリカ大陸に初めて上陸したイギリス人達は「R」を発音するrothic speechで話しました。
その頃イギリスの上流階級の人々は、自分たちが話す英語と一般の人々が話す英語を区別するため「R」の発音を弱めるように話していたと言います。
当時でもエリートたちはファッショナブルだと考えられていたため、一般人も彼らの発音を真似するようになり、結果的にイングランド南部の一般的な話し方になりました。
イギリス英語とアメリカ英語どっちを勉強したらいい?
イギリス英語とアメリカ英語どっちを勉強したらいいかに正解はありません。
将来行きたい国や、ビジネス相手がどこの国なのかなどによって変わります。
- 将来イギリスやイギリス英語が話されている国に行ってみたい人
- イギリス英語が話されている国とビジネスで関係がある人
- イギリス文化が好きな人
- 正統派の英語を学びたい人
イギリス英語の勉強法については以下の記事で詳しく紹介しています。
まとめ
今回はイギリス英語とアメリカ英語の4つの主な違いや面白い違い、イギリス英語とアメリカ英語の違いの歴史的背景などについて解説しました。
- イギリス英語とアメリカ英語は世界中のいろいろな国で話されている
- イギリス英語とアメリカ英語の主な違いは「発音」「スペル」「単語」「文法」の違い
- イギリス英語とアメリカ英語は時間の伝え方、日付の書き方など面白い違いがたくさんある
- イギリス英語とアメリカ英語のスペルの違いは、アメリカがイギリスから独立したことを示す一つの方法だった。発音の違いはイギリスの上流階級の人々が「R」の発音を弱める話し方をするようになったことがきっかけ
この記事でイギリス英語とアメリカ英語の違いに興味を持たれた方は、無料ダウンロードできる以下の資料も参考にしてみてくださいね!